2009年02月05日
1993年誕生---scene4---
公衆電話の受話器を置くと「ピーピーピー」とテレカの出る音が院内に響いた。
朝の9時前と言うこともありまだひと気が少なくひと際大きく聞こえた。
こうしている間にも生まれるかもしれないと思い、少し小走りに待合席まで戻った。
「ん?義父さんはどこだろう・・・」
席には義父の姿が無かった。もしや!と思い新生児室へ行ったがやはり姿がなかった。
「よかったぁ。義父さんに先に見られたかと思ったぁ」
とどうでもいいことでドキドキしてしまった。
しばらくすると義父が戻ってきた。
何も言わずに椅子に腰掛けたが心なしかタバコの匂いがする。どうやらタバコを吸いに外に行ってたようだ。
義父にしても初孫なのだから楽しみには違いない。
それにしても出産とは時間のかかるものだ。嫁が分娩室に入って間もなく4時間近く経過し時計は10時を指している。
まぁ、難産ともなれば半日以上かかることも有るらしいから、まだまだ覚悟は必要かもしれない。
この間にも義父は時折席を立ちタバコを吸いに行き、俺は置いてある雑誌を手にして広げてみるが内容は頭に入ってこない。
俺は時間を持て余していたので義父に
「ちょっと様子を見てきますね」
「うん。まだだと思うけどね。結構時間がかかるもんだよ」
と二人の子供がいる義父の経験から来る言葉ではあったが、ただ座っているのに疲れたので席を立って分娩室付近まで行くことにした。
あまり音を立てないように静かに分娩室へ近づいた。
外から聞き耳を立てて様子を伺うと中は割りと静かで、勝手に「ヒーヒーフー」とかやっていると想像していたので拍子抜けした。
「これはまだまだ時間がかかるな」
と思っていると、向かい側の部屋から看護師さんが出てきた。
「どうしました?」
「あ、あのぉ、6時ごろに分娩室に入っていった者の夫なんですが・・・まだ、時間掛かりそうですかねぇ?」
「えぇ!あ、費特勅さんですか?」
「はい」
「もう生まれてますよ」
「・・・・・・」
朝の9時前と言うこともありまだひと気が少なくひと際大きく聞こえた。
こうしている間にも生まれるかもしれないと思い、少し小走りに待合席まで戻った。
「ん?義父さんはどこだろう・・・」
席には義父の姿が無かった。もしや!と思い新生児室へ行ったがやはり姿がなかった。
「よかったぁ。義父さんに先に見られたかと思ったぁ」
とどうでもいいことでドキドキしてしまった。
しばらくすると義父が戻ってきた。
何も言わずに椅子に腰掛けたが心なしかタバコの匂いがする。どうやらタバコを吸いに外に行ってたようだ。
義父にしても初孫なのだから楽しみには違いない。
それにしても出産とは時間のかかるものだ。嫁が分娩室に入って間もなく4時間近く経過し時計は10時を指している。
まぁ、難産ともなれば半日以上かかることも有るらしいから、まだまだ覚悟は必要かもしれない。
この間にも義父は時折席を立ちタバコを吸いに行き、俺は置いてある雑誌を手にして広げてみるが内容は頭に入ってこない。
俺は時間を持て余していたので義父に
「ちょっと様子を見てきますね」
「うん。まだだと思うけどね。結構時間がかかるもんだよ」
と二人の子供がいる義父の経験から来る言葉ではあったが、ただ座っているのに疲れたので席を立って分娩室付近まで行くことにした。
あまり音を立てないように静かに分娩室へ近づいた。
外から聞き耳を立てて様子を伺うと中は割りと静かで、勝手に「ヒーヒーフー」とかやっていると想像していたので拍子抜けした。
「これはまだまだ時間がかかるな」
と思っていると、向かい側の部屋から看護師さんが出てきた。
「どうしました?」
「あ、あのぉ、6時ごろに分娩室に入っていった者の夫なんですが・・・まだ、時間掛かりそうですかねぇ?」
「えぇ!あ、費特勅さんですか?」
「はい」
「もう生まれてますよ」
「・・・・・・」
コメント
この記事へのコメントはありません。