2009年02月24日
1993年誕生---scene Final---
生まれたて・・・と言っても既に2時間が経過しているが・・
顔を見るとシワシワでお世辞にも可愛いとは思えなかった。
目はつむったままで時々ピクッと動いたりあくびをしたり・・・。
新生児室に来る前に嫁が言ってた
「すごく可愛かったよぉ」
の言葉を思い出していた。
「これなら犬の赤ちゃんの方が可愛いよなぁ」
近くに義父がいたので、心の中でつぶやいた。
後から思えば、どの赤ちゃんも似たりよったりなんだろうけど、未熟児で生まれた分余計にシワシワだったりして可愛く思えなかったのかもしれない。
隣の義父を横目で見ると普段あまり笑顔を見せないが、赤ちゃんを見ている目がとても幸せそうに見えた。
「そんなもんかなぁ・・・」
俺にはそんな風にしか思えなかった。
10分ほど様子を見ていたのだが、当たり前だけど寝返る訳でもなく、笑うわけでもなく動きと言えば時折するあくびだけ。
もっともっと感動するのかと思っていたがいささか拍子抜けだった。
「そろそろ病室に戻りますか」
と義父に声をかけたが
「もう少し見てるよ」
しばらく赤ちゃんを見ていたい様子だったので
「じゃぁ俺戻ってますね」
と言って、嫁のいる病室に向かった。10時を過ぎると病院内も人が増えてきていた。
途中でパジャマ姿で産後の母親と思われる人とすれ違ったが、やはり幸せそうな表情をしていた。
「見てきた?」病室に入ってきた俺を見るなり嫁が聞いてきた。
「うん」
「可愛かったでしょう」
「そうだね」
嫁の尋ね方がYes以外の答えを期待していないのがありありだったので、思わず答えてしまったが内心では漠然とした不安が沸いてきていた。
「生まれてお医者さんに赤ちゃんを見せてもらったときに感動して泣きそうになっちゃった」
「へぇ。そうだったんだぁ。大変だったんでしょ?お疲れ様だったね」
「それが、小さかったからそれほど大変じゃなかったの。痛かったけど我慢できるくらいだったよ」
「ミエちゃんが早く出てきてっていつも言ってたし、お腹が窮屈だったから早く出てきたんだね」
満面の笑みを浮かべている嫁と会話をしていると、可愛くて仕方がないのがひしひしと伝わってきた。
俺はまだまだ実感がなくどこか他人事になっていた。
1993年7月21日曇り、忘れられない日の訪れだった。
顔を見るとシワシワでお世辞にも可愛いとは思えなかった。
目はつむったままで時々ピクッと動いたりあくびをしたり・・・。
新生児室に来る前に嫁が言ってた
「すごく可愛かったよぉ」
の言葉を思い出していた。
「これなら犬の赤ちゃんの方が可愛いよなぁ」
近くに義父がいたので、心の中でつぶやいた。
後から思えば、どの赤ちゃんも似たりよったりなんだろうけど、未熟児で生まれた分余計にシワシワだったりして可愛く思えなかったのかもしれない。
隣の義父を横目で見ると普段あまり笑顔を見せないが、赤ちゃんを見ている目がとても幸せそうに見えた。
「そんなもんかなぁ・・・」
俺にはそんな風にしか思えなかった。
10分ほど様子を見ていたのだが、当たり前だけど寝返る訳でもなく、笑うわけでもなく動きと言えば時折するあくびだけ。
もっともっと感動するのかと思っていたがいささか拍子抜けだった。
「そろそろ病室に戻りますか」
と義父に声をかけたが
「もう少し見てるよ」
しばらく赤ちゃんを見ていたい様子だったので
「じゃぁ俺戻ってますね」
と言って、嫁のいる病室に向かった。10時を過ぎると病院内も人が増えてきていた。
途中でパジャマ姿で産後の母親と思われる人とすれ違ったが、やはり幸せそうな表情をしていた。
「見てきた?」病室に入ってきた俺を見るなり嫁が聞いてきた。
「うん」
「可愛かったでしょう」
「そうだね」
嫁の尋ね方がYes以外の答えを期待していないのがありありだったので、思わず答えてしまったが内心では漠然とした不安が沸いてきていた。
「生まれてお医者さんに赤ちゃんを見せてもらったときに感動して泣きそうになっちゃった」
「へぇ。そうだったんだぁ。大変だったんでしょ?お疲れ様だったね」
「それが、小さかったからそれほど大変じゃなかったの。痛かったけど我慢できるくらいだったよ」
「ミエちゃんが早く出てきてっていつも言ってたし、お腹が窮屈だったから早く出てきたんだね」
満面の笑みを浮かべている嫁と会話をしていると、可愛くて仕方がないのがひしひしと伝わってきた。
俺はまだまだ実感がなくどこか他人事になっていた。
1993年7月21日曇り、忘れられない日の訪れだった。