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中国深〓発テニスモロモロ 中国深〓に単身赴任中の四十路男性のテニスを始めとする日常をお送りします

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1993年誕生---scene5---

「・・・・」
「あれ?お知らせしてませんでしたかぁ?

「え、えぇ」
「失礼しましたぁ・・・」

開いたドアの向こうにベッドに横になっている嫁の顔が見えたので看護師さんに
「入っていいですか?」
「どうぞ」


部屋に入ると前の日まで大きかったお腹がスッキリしてしまって、元の痩せ型の嫁に戻っていた。
疲れていそうだったが、とても幸せそうな顔をしてこっちを見た。

「赤ちゃん見た?」と嫁。とっても可愛かったでしょうと言いたげだった。
「いつ生まれたの?」
「えぇ!見せてもらってないの?8時頃に生まれたんだよ」
「今までず~っと義父さんと待ってた」
「そうなの?」
と嫁は軽く驚きながら、この珍事を楽しんでいるようだった。

「ごめんなさいねぇ・・・。赤ちゃん見に行きますか?」
横で聞いていた看護師さんが申し訳なさそうな顔で言った。
「お願いします」
「すごく可愛かったよ」
と嫁が自慢げだった。

待合席で待っていた義父にも事情を話し、看護師さんに案内してもらい新生児室へ行った。


大きなガラスで仕切られた新生児室には8人くらい赤ちゃんがいた。




看護師さんが一旦中に入り、赤ちゃん一人ひとりの名札を見ているようだった。
そのうち物々しい透明なケースに入っている赤ちゃんを私たちのいるガラスの仕切りの前に運んできてくれた。
中を見ると他の子よりもひと際小さな赤ちゃんがいた。まだ目も開いてなくシワシワでその小さな腕に点滴の針が刺さっていて痛々しい。

私たちのもとに戻ってきた看護師さんが

「2,458グラムでしたから未熟児なので、保育器に入れていますが元気だから心配ないですよ」
と説明をしてくれた。

一安心して改めて保育器に入っている赤ちゃんを見たが、まだどこか他人の子供を見ているようで、自分が親になった実感は沸いてこなかった。



一人息子 | 投稿者 費特勅 23:14 | コメント(0)| トラックバック(0)
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